花菖蒲(ハナショウブ)の基本情報
梅雨の時期にひときわ華やかな花を咲かせる花菖蒲(ハナショウブ)。植え替えや株分けといった手間は少しかかるものの、比較的育てやすい植物です。
主な品種としては、江戸系・肥後系・伊勢系・長井古種など。古くから栽培されており、現在では2000以上の品種があるといわれています。
それだけに、花の色や花びらの形状もバリエーション豊富。日本の夏にぴったりの花なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
学名 | Iris ensata |
科属 | アヤメ科/アヤメ属 |
分類 | 多年草 |
耐寒性・耐暑性 | 耐寒性強め/耐暑性強め |
開花 | 6月~7月ごろ |
用途 | 地植え/鉢植え/切り花など |
花菖蒲(ハナショウブ)の育て方
日本の風景を彩る花菖蒲。比較的育てやすい植物ですが、元気に育てるためにもポイントを押さえた管理が必要です。
そこでまずは「管理場所」「植え付け」「肥料」「植え替え」「株分け」「水やり」など、順に育て方をご紹介していきます。
花菖蒲(ハナショウブ)の管理場所
日当たりのいいところで管理します。
また、花菖蒲というと水辺のイメージがありますが、水生植物ではありません。常時水につかるような場所は避けてくださいね。
花菖蒲(ハナショウブ)の植え付け
園芸店などでポット苗を購入した場合、植え付け時期は春~初夏(3月~7月ごろ)、または秋(9月~11月ごろ)に。株分けしたものであれば開花直後(6月~7月ごろ)が向いています。
用土は一般的なもので育ちます。鉢植えなら、赤玉土とバーミキュライト(または腐葉土)を7:3くらいの割合でいいでしょう。
地植えにする場合は、腐葉土などを混ぜ込んでおくといいですね。
花菖蒲(ハナショウブ)の肥料
健康に育てるためにも、適切な肥料が大切です。花菖蒲は植え付け時の肥料を少なめにした方が良いので、元肥は与えず根が張ってから施しましょう。
肥料を与えるタイミングは、芽が出る前の春先と秋に。緩効性化成肥料または油かすを与えます。とくに秋の肥料は大切なので忘れないようにしてくださいね。
また植え替えを行わない場合は、花後にも同じように肥料を与えるといいでしょう。
花菖蒲(ハナショウブ)の植え替え
花菖蒲は連作を嫌う植物です。長期間植えっぱなしでいると生育に悪影響なので、適切な植え替えが必要です。
時期は開花直後のタイミングで。だいたい6月~7月ごろですね。
鉢植えの場合、根詰まりを防ぐためにも1年に1回植え替えするのがベスト。地植えしている場合も、2年~3年に1回のペースで別の場所へ植え替えるか、土を入れ替えて植え替えましょう。
またこのとき、基本的には株分けも行ってください。
花菖蒲(ハナショウブ)の株分け
花菖蒲を育てるうえで株分けも大切です。2年~3年に1回は株分けを行う必要があるため、植え替えと同時に行いましょう。
時期は開花直後(6月~7月ごろ)。夏の暑さを元気に乗り越えるためにも、早めのタイミングで行うのがおすすめですよ。
鉢植えであれば毎年株分けしなくても大丈夫ですが、2年に1回は植え替えと一緒に株分けします。
地植えの場合は3年に1回くらいのペースで植え替えが必要なので、このときに株分けもしてくださいね。
花菖蒲(ハナショウブ)の水やり
健康に管理するため、そしてキレイな咲かせるためにも、水やりが大切です。
ずっとジメジメ湿っている必要はありませんが、極端に乾燥させないように注意。とくに植え付け後は根付くまで乾燥させないようにしてくださいね。
基本的には、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
またとくに、蕾が出たころ~開花期間は水が必要です。乾燥させないよう水やりしてください。
鉢植えの場合は乾燥しやすいため、受け皿に1cmほど水を張り、腰水栽培するのがおすすめですよ。
花菖蒲(ハナショウブ)が枯れる原因
花菖蒲が枯れてしまったときに考えたいのが、「植え替え・株分けをしていない」「水分過多」「病気」などです。順にお伝えしていきますね。
原因1:植え替え・株分けをしていない
花菖蒲は連作が苦手な植物です。適切に植え替えを行わないと、連作障害などによって生育に悪影響になります。
放っておくとそのまま枯れたり消滅してしまうため、鉢植えなら毎年、地植えなら2年~3年に1回は植え替えましょう。
また、株分けも必須作業のひとつです。2年~3年に1回は株分けを行う必要があります。
詳しくは「植え替え」「株分け」の項目でご紹介しているので、忘れずに行ってくださいね。
原因2:水分過多
菖蒲園などを見るとつい水生植物のように誤解してしまいますが、花菖蒲は水生植物ではありません。
水分が好きな植物ではあるものの、常時水につかっているような場所に植えたり、ずっと湿地のように湿るほど水やりしすぎるのはNG。
根腐れなどを起こしてし、枯れる原因につながります。「水やり」の項目でご紹介した通り適切に水を与えましょう。
原因3:病気
あまり病気の被害を受ける植物ではありませんが、場合によっては枯れてしまうこともあります。とくに黄萎病や、比較的新しいハナショウブ疫病などは注意しましょう。
萎凋病は葉が黄色くなり、縮んだりよじれたような見た目になる症状です。周囲に感染させないよう、土ごと捨てるしかありません。
ハナショウブ疫病は近年新しく名前が付いたものです。春~開花期ごろに発生するようで、葉が黄色くなり根元が腐ってしまいます。
予防方法などは今後変化していく可能性があるので、チェックしてみてくださいね。
花菖蒲(ハナショウブ)が咲かない原因
せっかく花菖蒲を植えたのに花が咲かない!…なんて経験はありませんか。
花が咲かない原因はいくつかありますが、よく挙げられるのが「水切れ」「植え替え・株分けをしていない」「害虫」です。
原因1:水切れ
花菖蒲は水分が大好きな植物です。花が咲かない、咲いてもすぐしぼむといった原因になるため、「水やり」の項目でご紹介した通り適切に水を与えましょう。
とくに蕾が出たころ~開花期間中は水分を必要とするので、乾燥させないように注意してくださいね。
原因2:植え替え・株分けをしていない
植え替えや株分け作業を忘れてしまうと、花が咲かない原因につながります。これは枯れる原因と同じですね。
花菖蒲は連作を嫌うので、植え替えを行う必要があります。そして同時に、株分けも大切な作業です。
「植え替え」「株分け」の項目を参考に、適切に植え替えを行ってくださいね。
原因3:害虫
害虫によって蕾などを食べられてしまうと、当然ながら花が咲かなくなってしまいます。
とくに5月~6月ごろにヨトウムシやメイガが発生することがあるので注意しましょう。
ヨトウムシの場合、必要に応じて薬剤散布などを行うのがおすすめ。メイガは見つけ次第駆除しましょう。
花菖蒲と菖蒲の違いは?
花菖蒲と似た名前の植物に、菖蒲(ショウブ)があります。同じような名前で混同されることもありますが、実際はまったく異なる植物です。
花菖蒲がアヤメ科/アヤメ属なのに対し、菖蒲はショウブ科(サトイモ科)/ショウブ属と別の分類なんですね。
上の画像が菖蒲の花。見た目が全く異なりますよね。
5月5日の端午の節句に湯船に菖蒲を浮かべる菖蒲湯というものがありますが、これは実はショウブ科(サトイモ科)/ショウブ属の菖蒲なんですよ。
花菖蒲(ハナショウブ)の花言葉と誕生花
花菖蒲の花言葉は、「うれしい知らせ」「優しい心」など。また、5月4日などの誕生花でもあります。