ヘリオトロープの基本情報
バニラのような甘い香りが印象的なヘリオトロープ。香水の原料ともされる花で、日本には明治時代に伝わったとされています。
実際あの夏目漱石の小説・三四郎にもヘリオトロープの香水が登場。古くから親しまれてきた花でもあるんですね。
また名前の由来はギリシャ語で太陽の意味を持つheliosと、向くという意味のtropeを合わせ、太陽のほうを向く・太陽に向かうといった意味があるんですよ。
別名 | キダチルリソウ/コウスイソウ/ニオイムラサキ |
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学名 | Heliotropium |
科属 | ムラサキ科キダチルリソウ属 |
分類 | 多年草/一年草 |
耐寒性/耐暑性 | 耐寒性弱め/耐暑性普通程度 |
開花 | 4月~10月 |
用途 | 鉢植え/地植え |
ヘリオトロープの色や種類
そんなヘリオトロープですが、250種類以上もの種類があるといわれています。まずはその一部をご紹介しますね。
ビッグヘリオトロープ
一般的に流通しているのがこの品種。一年草タイプとされ、色は紫色のほか白色もあります。
コモンヘリオトロープと混同されることもありますが、こちらは花が大きく、どちらかといえば香りより花がメイン。それだけにコモンヘリオトロープと比べると香りが弱いのも特徴です。
コモンヘリオトロープ
あまり見かける機会の少ないコモンヘリオトロープ。別名(和名)キダチルリソウと呼ばれているのもこの品種で、色は紫色のほか白色もあります。
多年草タイプとされ、香りが強いのが特徴。寒さには弱めなものの、上手く冬越しできれば徐々に低木状となります。
ヘリオトロープブライドパール
比較的新しい品種であり、小さな花がポイントのヘリオトロープブライドパール。地を這うように咲く這性(はいせい)で、株自体はコンパクトなものの、鉢植えすれば垂れ下がるように咲いていきます。
また暑さに強めなのも特徴で、夏のガーデニングにおすすめです。
ヘリオトロープの育て方
続いてはヘリオトロープの育て方について。
ヘリオトロープを上手に育てるにはいくつかポイントや注意点があります。ここからは植え付けから肥料、増やし方まで解説していくので、しっかり確認してガーデニングを楽しんでください。
ヘリオトロープの植え付け
ヘリオトロープは日当たりのいい場所、水はけと保水性のいい土を好みます。そのため地植えする場合は場所選びに注意し、事前に石灰を混ぜ込んでおきましょう。
鉢植えの場合は、市販の培養土で問題ありません。自身で配合するなら、赤玉土6:腐葉土3:軽石:1くらいの割合がいいでしょう。
なお、ヘリオトロープは多年草であっても寒さには弱めな花です。そのため冬は軒下や室内へ移動して冬越しできるよう、鉢植えにするほうがおすすめですよ。
ヘリオトロープの肥料と与え方
緩効性肥料を元肥として与えるほか、追肥も行います。肥料切れにならないよう、液体肥料か緩行性肥料を定期的に追肥として与えてくださいね。
なお真夏や冬場は与えなくても問題ありません。
ヘリオトロープの植え替え
ヘリオトロープの株を健康に保つために、鉢植えの場合は定期的な植え替えが必要です。
植え替えにおすすめの時期は花が終わった秋頃で、だいたい2〜3年に1回のペースで大きめの鉢へ植え替えましょう。
ヘリオトロープの管理方法
水切れを起こすと葉が黒くなってしおれる可能性もあるので要注意。土が乾いたらたっぷりと水やりしましょう。
とくに夏場は乾くのが早いので、水やりを忘れないように気をつけてくださいね。
また花が咲き終わったら花がら摘みを行うといいでしょう。
ヘリオトロープの挿し木(挿し芽)
ヘリオトロープを増やしたい場合、挿し木(挿し芽)で増やせます。
挿し木(挿し芽)の適期は5月〜6月、または9月ごろ。茎の先端を5〜10cm程度で切って挿し穂を作り、水に浸して吸水させた後、赤玉土などに挿しておきましょう。
以降は挿し穂を動かさず、水切れに注意しながら管理してください。上手くいけば1か月程度で根がでてきますよ。
ちなみに以下の記事では、実際に筆者である私がヘリオトロープの挿し木に成功した記録を紹介しています。
一般的に挿し木には向かないとされる冬場の挑戦だったものの、無事に成功。詳しい挿し木の方法や経過観察、鉢上げまで写真と一緒に記載しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
ヘリオトロープの葉が黒くなる原因は?
ヘリオトロープを育てていると、葉が黒くなってしまうことがあるかもしれません。
ヘリオトロープの葉が黒くなる原因で有名なのは「乾燥」です。
上の管理方法でもご紹介したとおり、ヘリオトロープは乾燥させて水切れすると葉が黒くしおれてしまいます。
実はこれは筆者である私も経験があって、挿し木をした直後と夏場の水やりを忘れたときに葉が黒くなってしまいました。
そしてもうひとつ原因として考えられるのが「葉焼け」です。
ヘリオトロープは日当たりが好きなものの、強すぎる日差しは苦手です。そのためあまりに日差しが強すぎると葉やけを起こしかねません。
とくに葉の上から水やりをすると、水滴に光が集まって葉焼けの原因となります。
ヘリオトロープの花言葉と神話由来の意味
1月27日や5月24日などの誕生花でもあるヘリオトロープ。花言葉は、「献身的な愛」「熱望」などです。
なかでも「献身的な愛」という花言葉はギリシャ神話から来ているともされているんですよ。
どんなお話か簡単に説明すると…
水の精クリュティエと太陽神ヘリオスは恋仲でした。しかしヘリオスは美しいレウコトエ王女へ恋をしてしまいます。
これに怒ったクリュティエはレウコトエの父でペルシャ王であるオルカモスへ告げ口をします。
結果、怒り狂ったオルカモスはレウコトエの弁明も聞かず、そのまま生き埋めにしてしまいました。ヘリオスがレウコトエを救出したものの助からず…。またクリュティエの元にヘリオスが戻ることもありませんでした。
残されてしまったクリュティエはヘリオスに振り向いてもらえることもなく、太陽を眺めながら何日も座り込み、ついにそのままヘリオトロープの花に姿を変えてしまったのです。
というもの。なんだか悲しいお話ですよね。
またこのお話には諸説あって、ヘリオスではなくアポロンだったり、姿を変えた花がキンセンカやヒマワリだったりもします。